「余白で味わう。」
― 日々を刻み込むように ―
最近、
「味わう」ということを
よく考えています。
忙しい毎日。
予定に追われて。
やることに追われて。
気がつけば、
こなすだけで
一日が終わっている…。
そんな日も少なくありません。
きっと私たちは、
毎日を生きるために、
とても上手にできています。
嬉しいことも。
悲しいことも。
少し横に置きながら、
目の前のことをこなしていく。
フラットでいること。
平常心でいること。
それは、
生きていくために必要な力なのだと思います。
でもその一方で、
何かを感じないようにすることにも、
少し似ている気がしています。
感じすぎると、
前へ進めなくなるから…。
だから少しだけ、
心を麻痺させる。
そうして私たちは、
今日を乗り越えていく。
そして気づけば、
たくさんのことを忘れてしまう。
あの日見た空の色。
風の匂い。
子どもたちの笑い声。
胸がいっぱいになった瞬間。
涙があふれた時間。
確かにそこにあったはずなのに、
忙しさの中に溶けて、
いつの間にか遠くなってしまう。
そんな自分自身に気づいて、
思うことがあります。
もっと、
味わい尽くしたい。
嬉しいも。
悲しいも。
悔しいも。
幸せも。
甘いも。
苦いも。
酸っぱいも。
人生には、
いろんな味があります。
そして、
そのどれもがあるから、
人生は豊かになる。
私自身もそう。
好きな私も。
嫌いな私も。
できる私も。
できない私も。
全部ひっくるめて、
私という味。
だから、
良いことだけを残したいとは思いません。
苦しかった出来事も、
ちゃんと味わい尽くしたい。
その時は苦くても、
あとになって人生の深みになっていることを、
私は何度も経験してきました。
「丁寧な暮らし」
そんな言葉を耳にすることがあります。
でも私は、
きっと上手ではありません。
洗濯物は山になるし。
予定は詰め込みがちだし。
毎日が、
きれいに整っているわけでもありません。
それでも、
これから意識的に
大切にしていきたいことがあります。
目の前にある時間を、
丁寧に味わうこと。
コーヒーを飲む時間。
針を持つ時間。
子どもたちと笑う時間。
忙しく走り回っている時間。
ぼーっと空を眺める時間。
どんな時間にも、
ちゃんと自分がいること。
ほんの少し立ち止まって、
その瞬間を感じること。
余白をつくること。
余白を残すこと。
その余白があるからこそ、
私たちは立ち止まり、
味わうことができるのかもしれません。
私にとって草花は、
日々を味わうための、小さなきっかけ。
だからこそ、
草花をモチーフにしたアクセサリーを、
ひと針ずつ咲かせています。
日々を彩りながら。
日々を味わいながら。
何気ない毎日の中で、
ふと目を留める小さな草花が、
「あの日、このアクセサリーを身につけていたな。」
そんなふうに、
人生の景色と一緒に、
思い出をそっと重ねてくれたら。
記憶に残るのは、
アクセサリーそのものではなく、
その日に感じた空気や、
交わした言葉や、
心が動いた瞬間なのかもしれません。
その景色のそばに、
∗atelier eni∗の草花が、
そっと咲いていてくれたら…。
それ以上に嬉しいことはありません。
だから私は、
今日という一日を、
少しでも味わいながら生きていたいと思っています。
もしかしたら私たちは、
何かを成し遂げるためだけに
生まれてきたのではなく。
誰かのためだけに
生きるのでもなく。
誰かの期待に応えるためだけでもなく。
この世界を。
この人生を。
そして、
自分という存在そのものを。
良いも悪いも。
すいもあまいも。
全部ひっくるめて。
味わい尽くすために、
ここにいるのかもしれません。
今日も私は、
日々を彩り、
日々を味わうきっかけとなる草花を、
ひと針ずつ咲かせています。
その時間を味わいながら。
そして、
いつか誰かの日々も、
やさしく彩れますように…。

∗atelier eni 173∗
﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍﹍
立体手刺繍アクセサリー
atelier eni の作品は
オンラインショップでもご覧いただけます。
刺繍から生まれた草花たちを
お届けしていますꕤ
