「コビトたちと駆け抜けている…夏」
― 手を離して、見えてきたもの。―

今年の夏休みは、
とにかく、よく走った…。
振り返ってみると、
「そんなことまでやったっけ?」と思うほど、
記憶が追いつかないくらい、
いろんな場所へ行って、
いろんな人に出会って、
いろんな挑戦をした夏でした。
“eni to kobito”から始まり、
新しい環境での出店に挑戦をして、
初めてのコラボもあった、”en no hi”の5日間も。
作品を並べるだけではなく、
夏休みの宿題をしたり、おしゃべりをしたり、ワークショップをしたり…。
子どもも大人も、
誰かが誰かに教えるだけではなく、それぞれがその場所で、それぞれの時間を過ごす。
そんな「夏休みの居場所」のような場所を、コビトさんたちと一緒につくりました。
新しいご縁が生まれたり。
今まであったご縁が、少し深い絆に変わったり…。
私の知らないところで、
コビトさんたち自身の関係が育っていたりしました。
ホテルマルシェのあとには、
作家仲間とお泊まりもしました♡
私にとっては、
初めてコビトさんたちを預けてのお泊まり。
とっても素敵な夏の思い出になりました。
河口湖音楽と森の美術館でのビアガーデンでは、
キンコン西野さんから私たちにかけていただいた
『ものづくりを続けてください』
の言葉に、私もコビトさんも痺れました。
作家として迷ったときに見上げる、
心の北極星のような言葉になりました。
それから、いとも簡単に、
あり得ないことをやってのけるコビトさんたちの、
子どもパワーには、ただただ驚かされたりもしました。
お祭りへ行けば、
私の知らないところで出来上がっているコビトさんたちの人間関係を垣間見てたり、
お友達とのお泊まり会では、
いつもとは少し違う場所から、コビトさんたちを見つめ直す機会をもらいました。
遠い広島の地にも行き、
コビトさんたちにとっては、1番の遠出旅行になったかもしれません。
協力しなければ、辿り着けないし、帰れないという大冒険。笑
そして、この夏のコビトさんたちの大きな挑戦のひとつ。
イトーヨーカドーで開催された、子どもたちだけで創る子どもマルシェ。
我が家のコビト作家たちは、
これまでにも何度かマルシェを経験しています。
オーダーをいただくこともあり、少しずつ、自分たちでできることも増えてきました。
作品をつくるだけではなく、
売上の中から自分のお小遣いと、次の作品をつくるための材料費を考える。
材料を買うときには、自分で商品を持ってレジに並ぶ。
搬入、搬出、ディスプレイ。
接客、お会計、ラッピング…。
できるだけひと通り、
自分たちで経験してもらうようにしてきました。
けれど、今回のマルシェは、今までとは少し違いました。
商品の企画から準備、販売まで、
すべてを子どもたち自身が行うマルシェ。
子どもたちが考えた作品やワークショップが、思い思いに並びます。
看板やPOPも自分たちでつくり、
打ち合わせにも参加して、
日報まで自分たちで書く。
そして何より。
このマルシェには、“親”は入ってはいけません。
事前にスタッフさんから届いた連絡が、
とても印象に残っています。
「親御さんは、くれぐれも手伝わないようにお願いします。
すべてお子様にさせてください。
仕事の大変さを体験してもらいたいからです。」
……これは。
コビトさんたちへの挑戦でもあり、
私への挑戦でもありました。笑
確かに、マルシェの経験を積んできたコビトさんたち。
でも、そこにはいつも、ママの私がいました。
躓きそうになれば、
ついつい手を出してしまう。
もっと上手くできる方法が見えれば、
ついつい口を出してしまう。
失敗しそうだと思えば、
その前に先回りしてしまう…。
それはもちろん、
助けたいからなのだけれど。
もしかしたら私は、
子どもたちが自分で考える時間や、
失敗する経験まで、
先回りして取り上げてしまっていたのかもしれません。
だから今回は、
手を出さない。
口を出さない。
ただ、遠くから見守る。
これが、なかなかヤキモキする!!笑
ママのいない出店は、コビトさんたちにとって初めての挑戦。
そして、「見守る」ということは、私にとっての挑戦でもありました。
もうひとつ、コビトさんたちが苦戦したのが、
「販売価格500円まで」というルール。
普段販売している作品は、
材料費だけでもそれを超えてしまうものがあります。
だから、500円で販売できるものを、材料から考え直す。
何をつくるのか、どうやってつくるのか。
子どもマルシェのために、新しく企画し直し、新たな作品を制作しました。
けれど、
“en no hi”が終わってから、中3日。
今年の夏休みは予定がぎっしり。
もちろん、夏休みの宿題もある。
その中で、
作品をつくって、
看板をつくり直して、
値段をつけて、
ミーティングに参加して、
撮影をして、
Instagramで告知をして…。
とにかく、時間が足りない。
「いつまでに、何をする?」
「今日は、どこまでやる?」
「これをやるためには、何を先に終わらせる?」
予定を立てること。
限られた時間の中で、
時間をつくる工夫をすること。
優先順位を考えること。
一見、
マルシェとは関係のないように見えることまで、
すべてが学びになっているようでした。
作品のつくり方だけじゃない。
ものの売り方だけでもない。
お金のこと。
時間のこと。
人との関わり方。
自分で決めること。
失敗すること。
困ったときに、
自分で考えること。
そして、
誰かに助けてもらうこと。
振り返ってみれば、今年の夏休みは、
学校の教室の中だけでは、なかなか学ぶことのできない
“生きていく力”
をたくさん使い、身をもって学んだ夏だったように思います。
そしてそれは、
特別な何かを教え込んだからではなくて。
たくさんの人と出会い、
いろんな場所へ行き、
挑戦して、失敗して、また考えて…。
そんなひとつひとつの経験の中で、
コビトさんたち自身が掴んでいったもの。
私はこの夏、
その伴走に必死でした。
一緒に走って。
時々、先回りしてしまって。
手を出しそうになるのを堪えて。
少し離れたところから見守って…。
私もまた、
たくさんのことを教えてもらいました。
それは、コビトさんたちと走ったからこそ学べたこと。
大人になるにつれて、
いつの間にか固まってしまった考えや、
「こうあるべき」と握りしめているもの。
それをほんの少し手放してみたら、
もっと自由に、柔らかく、
世界を見られるのかもしれない。
コビトさんたちを見ていると、
そんなことを思います。
決めつけず、
面白そうならやってみる。
うまくいかなければ、また考える。
そんな彼らの柔らかさを、見習いたい。
子どもたちが挑戦するなら、
大人だって、挑戦していい。
だったら、私もやってみよう。
だから、ここからは、私の番。
コビトさんたちを預けて、1泊2日で東京へ行ってきます。
何かが起きるかもしれない。
何も起きないかもしれない。
それでも、とにかく、行ってみる。
この夏、
何度もコビトさんたちに言ってきたことを、
今度は私自身がやってみようと思います。
……その前に。
まだ残っている、夏休みの宿題との戦いがありますが…。笑
宿題って、いったい誰のものなんでしょう。笑
そんなふうにコビトさんたちと駆け抜ける毎日の隙間で、
私は今日も、針を持ちます。
子どもたちが経験を重ねながら、
少しずつ自分の世界を広げていくように…。
私もまた、
一針、一針を重ねながら、
∗atelier eni∗の小さな花たちを咲かせています。
きっと私のものづくりも、
こうして出会った人や、見た景色、
コビトさんたちと重ねた経験の先に、
少しずつ変わっていくのだと思います。
手を放したからこそ、
見えてきたものを連れて…。
コビトさんたちと駆け抜けた夏休みから、今度は私自身の一歩へ。
残暑の中で、
もう少しだけ、駆け抜けます。
∗atelier eni 179∗
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