「世界線を、紡いでいく。」
― まだ見ぬ景色へ、糸をつなぐ。―

少し前まで、
遠い遠い、画面の向こうにいた人と、
今、言葉を交わしている。
きっとこれまでの私なら、
出逢うことすらなかったであろう人。
生きている世界も、
動かしているものも、
見ている景色も、
何もかも桁が違うように感じていた人たちと、
ご縁がつながっていく…。
少し前の私が見たら、
きっと驚くと思う。
「なんでそこにいるの?」って。
最初は、場違いな気がする。
なんで私がここにいるんだろう。
私なんかがここにいていいんだろうか。
信じられなかった世界が、
目の前に広がっている。
だけど不思議なもので、
そこに居続けていると、
少しずつ、それが当たり前になっていく。
そして、
新しい世界が当たり前になった頃、
今度は元いた場所に戻ったときに、
「あれ?
私、なんでここにいるんだっけ?」
と思う瞬間がやってくる。
たぶん、
世界が突然変わったわけじゃない。
私の中の「当たり前」が、
少しずつ変わったのだ。
昨日までなら
信じられなかった今日を、
今日の私に、ならしていく。
少し違和感のある場所に立って、
そこを少しずつ、
自分の日常にしていく。
ならして、
ならして、
ならし続ける。
そうして気づいたときには、
今までとは
全く違う世界に立っている。
それが、
「世界線が変わる」
ということなのかもしれない。
今日の私には、
まだ想像もできない場所。
見たことのない景色。
まだ出逢っていない人。
そこへ続く道もまた、
今日のこの場所から
つながっているのだと思う。
たくさんのご縁につながって。
私からも、
誰かへご縁をつないで。
その人から、またその先へ。
そうやって、
ひとつひとつをつないでいった先に、
今はまだ見たこともない景色が
待っているのかもしれない。
そんなことを考えながら、
いつものように日本語で遊んでいて、
ふと思った。
氏名。
指名。
使命。
この世界に生まれて、氏名をもらう。
それはもしかしたら、
この世界で何かをするために
「指名」された「使命」なのかもしれない。
そんな言葉遊びをしていたら、
自分の名前に
「綾」という漢字が使われていることまで、
なんだか面白く思えてきた。
「綾」には、糸がある。
意図(糸)があって、
その糸の最先端が、
誰かへ、何かへとつながっていく。
一本だった糸が、
別の糸と出逢い、
重なり、
紡がれ、
綾なされていく。
そうして、
一枚の生地が生まれるように。
そこから服が作られるように。
たくさんの意図と、
たくさんのご縁が重なった先に、
誰かの「福」が生まれる。
そんなことを思ってみたりする。
昔から、
中島みゆきさんの「糸」という曲が好きだった。
なぜだかわからないけれど、
あの歌がずっと、
自分の中にしっくりと馴染んでいた。
人と人が出逢うこと。
それぞれに歩いてきたものが、
どこかで交わっていくこと。
今になって、
どうしてあの歌が
こんなにも自分にしっくりきていたのか、
少しだけ、
わかるような気がしている。
私はきっと、
一本の糸だけで
何かをつくりたいわけじゃない。
たくさんのご縁につながって。
私もまた、
誰かと誰かをつないで。
それぞれの意図を持った糸が
出逢い、重なり、
今の私には想像もできないものが
綾なされていく。
その先にある景色を、
私は見てみたいのだと思う。
もう二度とない、今だからこそ。
そして、こんな私だからこそ。
お届けできることがある。
お話しできることがある。
私を待ってくれている人がいる。
∗atelier eni∗の草花を
待ってくれている人がいる。
そしてきっと、
まだ出逢っていないどこかにも、
私を待ってくれている世界がある。
そこがどこなのかは、まだわからない。
この糸が、
どこにつながっていくのかもわからない。
だけど、
わからないからこそ、見てみたい。
今日の新しい世界を、
今日の私にならしながら。
また少し先の世界へ。
ひとつのご縁から、
またひとつのご縁へ。
世界線を、紡いでいく。
だから今日も私は、
針を持つ。
一本の糸を通し、
ひと針、
またひと針。
まだ見ぬ景色へ
糸をつなぐように…。
今日も私は、
∗atelier eni∗の小さな草花を
咲かせます。
∗atelier eni 189∗
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