「好きが巡れば、世界は変わる。」
― ご縁が咲かせた花と、まだ見ぬ景色 ―

ずっと、心の中に思い描いていた景色があります。
木々に囲まれた森の中。
そこに、小さなログハウス。
窓からはやわらかな光が差し込み、
草花が揺れている。
誰かがものづくりをしていたり、
誰かが絵を描いていたり、
誰かが写真を撮っていたり…。
それぞれが自分の「好き」を大切にしながら、
思い思いの時間を過ごし、
思い思いに表現をする。
そんな、小さな世界。
いつか、こんな場所をつくれたら…。
そう思い描いていたのは、
私だけではありませんでした。
不思議なことに、私の大切な友人たちも、
よく似た景色を思い描いていたのです。
一緒に二人展をつくり上げる、
ニャームルクロッペさん。
(Instagram→@nyahmullkroppe)
そして、
ありのままの私を写真に残してくれた、
カームさん。
(Instagram→@flo_calm)
それぞれに違う人生を歩み、
違う方法で自分の世界を表現しているのに、
なぜか、思い描く未来の景色が重なっている。
それは、私たち三人だけではなく、
周りにいる大切な人たちとも、
自然と共有できるような景色でした。
いつか、そんな場所で…。
そう話していると、
まだ見たこともないはずの未来が、
驚くほど鮮明に想像できるのです。
思い描いていた景色が、目の前に
そして今回、
二人展の会場となる場所に出会いました。
森に囲まれた、小さな建物。
そこに広がっていたのは、
私たちが何度も思い描いてきた、
あの景色そのものでした。
あまりにも想像していた世界と重なっていて、
思わず言葉を失ってしまうほど…。
いつか見たいと思っていた景色が、
突然、目の前に現れたようでした。
その場所で、写真を撮ってもらいました。
大好きな景色の中で、
大切な友人が切り取ってくれた一瞬。
そこには、私たち自身だけでなく、
その日に流れていた時間や、
空気のやわらかさまで写っているように感じました。
写真を眺めるたびに、思うのです。
私がずっと見たかった世界は、
こんなにも近くにあったんだな…、と。
もちろん、
思い描いている未来のすべてが
形になったわけではありません。
でも、その未来につながる景色を、
確かに一度、目にすることができた。
それが、私にとって、とても大きな出来事でした。
ご縁が育ててくれたもの。
小さな頃、私の中に蒔かれていた、
たくさんの「好き」という種。
草花や、小さな生き物たち。
絵本の中に広がる、妖精たちの世界。
夢中になって眺めていたもの。
自分の手で、何かをつくる喜び。
長い時間を経て、
その種は少しずつ芽を出し、
今の私のものづくりへとつながっています。
でも、ここまで育ってこられたのは、
決して私ひとりの力ではありませんでした。
振り返ると、
いつもそこには、人とのご縁がありました。
何気なくかけてもらった言葉。
作品を手に取ってくれた人の笑顔。
一緒に何かをつくろうと声をかけてくれた人。
私には見えていなかった可能性を、見つけてくれた人。
そのひとつひとつが、
種に注がれる水のように、
あたたかな光のように、
私の中に積み重なってきたのだと思います。
そして、今回の二人展の相方、ニャームルクロッペさん。
写真撮影をしてくれたカームさん。
このお二人は、私にとって、
とても特別な存在です。
けれど、ただ私を支えてくれる人、
という言葉だけでは、きっと足りません。
それぞれが、自分だけの「好き」を持ち、
自分らしい表現を大切にしている。
誰かが誰かの夢を叶えるためだけにいるのではなく、
それぞれの夢が、自然と重なり合っている。
そんな関係が、私はとても好きなのです。
ひとりでは思い描けなかった景色も、
誰かと出会うことで、少しずつ輪郭を持ちはじめる…。
違う色を持つもの同士が出会うことで、
今までになかった景色が生まれていく…。
今回の二人展も、
そんなご縁の重なりから生まれた、
小さな世界のひとつです。
私が刺繍で表現する草花の世界。
ニャームルクロッペさんが、その手から生み出す世界。
そして、その空気感を写真に残してくれる、カームさん。
それぞれの表現が重なったとき、
そこには、
誰かひとりではつくれなかった世界が広がっていました。
好きが巡れば、世界は変わる。
誰もが、自分の好きなことや得意なことを持ち寄り、
互いに支え合いながら暮らしていける。
まるで、小さな村のような世界。
まだ遠くにある未来のように感じていた景色。
でも今、その小さなかけらが、
少しずつ目の前に集まりはじめているような気がしています。
そして、ふと思うのです。
小さな頃に蒔かれた種が、花を咲かせたとして。
きっと、そこで物語が終わるわけではないのだと。
花が咲けば、また新しい種が生まれる。
風に運ばれたり、誰かの手に渡ったりしながら、
思いもよらない場所で
新しい芽を出すこともある。
人とのご縁も、きっと同じ。
誰かから受け取ったものが、
いつか別の誰かへとつながっていく。
自分の「好き」が、誰かの「好き」と出会い、
また新しい何かが生まれていく。
そんなふうに、巡り続けていく世界。
まだ見ぬ物語の、はじまり
今回の二人展は、私にとって、
ひとつの到着点ではありません。
むしろ、ここから何かが始まっていく…。
そんな予感を感じさせてくれる出来事でした。
まだ、その先に何が待っているのかは分かりません。
どんな人と出会い、どんな景色を見ていくのかも。
でも、不思議と、
その未来を想像することが楽しみなのです。
小さな頃の私が、大切にしていた「好き」。
その種に、
たくさんの人が水を注ぎ、光を届けてくれた。
そして今、少しずつ花が開こうとしている。
いつか、その花から生まれた種が、
また誰かの小さな世界につながっていったら。
それは、どんなに素敵なことだろう。
好きが巡れば、世界は変わる。
あのとき思い描いた言葉が、
今、少しずつ現実の景色と重なりはじめています。
そして、この先にはきっと、
まだ見ぬ物語が待っている。
私は今、そんな新しい始まりの入り口に
立っているような気がしています。
∗atelier eni 194∗
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