「monogatari」
― 全ては、人生を味わうためのエッセンス。―

人生って、なんなんだろう…。
最近、そんなことをふと思う。
幸せになるため?
夢を叶えるため?
何かを成し遂げるため?
もちろん、それもあるのかもしれない。
でも今の私は、
人生ってもしかしたら、
いろんなことを「味わうため」にあるんじゃないか。
そんなふうに思っている。
振り返ってみれば、
私の人生もいろんなことがあった。
うれしかったこと。
思わず飛び跳ねたくなるような出来事。
大切な人との出会い。
その一方で、
思い描いていた未来とは
まったく違う場所に立っていたこともある。
出会いもあれば、別れもあって。
手にしたものも、
手放したものもあった。
どうしてこんなことが起きるんだろう、と
答えの見つからない時間もあった。
その真ん中にいる時は、
それが何につながっていくのかなんて
全然分からない。
できれば通りたくなかった道だって、
もちろんある。
だから私は、
「起こることには、すべて意味がある」
と、簡単には言えない。
意味なんて探せないくらい、
ただその日を越えることで精一杯な時もあることを
知っているから…
だけど。
随分あとになって振り返った時、
あの時の出会いが、
今のこのご縁につながっていたり。
あの時手放したからこそ、
新しく入ってきたものがあったり。
「失敗したなぁ」と思っていたことが、
いつの間にか誰かに話せる経験になっていたりする。
刺繍をしていても、よく似たことを感じる。
一本の糸だけを見れば、
それはただの一本の糸。
ひと針、またひと針…
重ねていくうちに、
少しずつ形になっていく。
途中だけを見たら、
何になるのか分からないことだってある。
むしろ、
「これ、本当に大丈夫?」
と思う瞬間もある。笑
でも、
違う色が重なるから生まれる色があって、
光だけでは見えなかったものが、
影があることで浮かび上がることもある。
人生もきっと同じ。
うれしいことだけが、
人生を豊かにしてくれるわけじゃない。
悔しかったことも、
迷ったことも、
遠回りしたことも。
誰かと出会ったことも、
離れたことも。
夢中になったことも、
諦めたことも。
きっと全部、
私らしい
人生を味わうためのエッセンス。
そう思うようになってから、
何かが起きた時に、
すぐに「良い」「悪い」を決めなくてもいいのかな、
と思えるようになった。
今は苦くて仕方のないものが、
何年後かには違う味に感じるかもしれない。
反対に、
当たり前すぎて気づかなかった幸せを、
ずっとあとになって知ることもある。
だから、
甘い日は、甘さを。
苦い日は、苦さを。
うれしい日は思いきり笑って、
立ち止まる日は、
そこから見える景色を。
せっかくなら、
その時にしか感じられないものを
ちゃんと味わってみたい。
八ヶ岳の麓で
∗atelier eni∗を始めたことも、
そこからたくさんの人と出会い、
ご縁がご縁を連れてきてくれたことも、
少し前の私には
想像もできなかった今。
そしてきっと、
今の私には想像もできない未来が、
この先にも待っている。
人生はまだまだ途中。
完成していないから、おもしろい。
ひと針ずつ重ねていく刺繍のように、
今日の出来事も、
今日出会った誰かも、
今日選んだ小さなことも、
いつか振り返った時には
ひとつの景色になっているのかもしれない。
monogatari
光も、影も。
甘さも、苦さも。
思い通りになった日も、
ならなかった日も。
全部ひっくるめて、
たったひとつの
私の物語。
そう考えたら、
この先にどんなエッセンスが加わっていくのかも、
ちょっと楽しみになってくる。
∗atelier eni 187∗
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