「影の奥で光を抱く」
―闇に咲く選択 ―
影の残響
風が止まり、
音のない時間が流れていました。
崩れた現実の欠片たちが、
静かに机の上で光っている。
誰かの名も、
約束の言葉も、
もう輪郭を持たないまま、
私の手のひらをすり抜けていった…
沈黙の記録
痛みという言葉では足りませんでした。
何も感じないことが、
一番の痛みだったのかもしれない。
世界が崩れるたびに、
私の中では逆に、
ひとつの根が
深く沈んでいったのです。
矛盾の庭
闇の真ん中にいたはずなのに、
どこかで光を失わず、
周りが驚くほど、
私は自分を保ち続けていました。
揺らがない根があった。
それが私を守っていた。
でもそれが、
私を苦しめてもいた。
泣けない空
泣くことも、
喚くこともできなかった。
涙の場所がわからなかった。
ただ空を見上げるたびに、
風の行方を探していました。
泣くかわりに、
雲が少しずつ流れていく…
影の奥で光を抱く
夜の底で、
微かな光が
胸の奥にありました。
それは希望ではなく、
ただ、
消えなかったもの。
でも、
暗闇だからこそ
見つけられたのです。
闇の中に、
ひとつの花が咲いている…
その花は、
美しく、静かで、
どこか魔性の気配を纏っていました。
見たこともない蕾が、
俯き気味に、
少し膨らんでいました。

∗atelier eni 78∗

