「光のほとり」
― 息を取り戻した日 ―
祈りのカタチ
手のひらの中にある小さな花。
それは、
ただのアクセサリーではなく、
私がずっと見つめてきた
“祈りの形”
そのものでした。
静かな夜の針仕事の中で
生まれた花たちは、
これまでずっと、
私の内側の世界でだけ
咲いていました。
けれど、いつかこの子たちを
光の中へそっと連れていきたい──
そんな想いを
胸に重ねてきました。
春を待つ朝
――2024年3月3日。
春を待つ風はまだ冷たくて、
それでもどこか
やわらかな光が漂っていて…
八ヶ岳の空の下、
私は “いっぽマルシェ” という
小さな扉の前に立っていました。
手のひらには、∗atelier eni∗ の花たち。
祈りの欠片のように静かに芽生えた、
小さな “いのち” の証。
光の中で息をする
出会う人、交わす声、ふっと生まれる笑顔…
世界がゆっくりと呼吸を
取り戻していくようでした。
光が糸に触れるたび、
花たちが
そっと動き出すようにきらめく。
その景色の中で、
胸の奥にあった何かが
すこしずつ
ほどけていくのを感じました。
長いあいだ止まっていた時間が、
小さな音を立てながら動き始める…
「エニさん」と呼ばれた日
3月3日、
初めて “エニさん” と呼ばれた瞬間、
胸の奥で、
長く触れられなかった何かが
ふわりと動きました。
翌日が
命日だと思っていたからこそ、
その一言は驚くほどあたたかくて…
世界の色が静かに変わるのを、
確かに感じました。
戻った、
と言い切るのとも違う。
生まれ変わった、
と呼ぶには何かが違う。
ただ、
言葉にならなかった “何か” が
その日にそっと息をしました。
それだけ優しくて、
大切な光だったのです。
光のほとりで
あの日の私は、
たしかに
“生き返った” のだと思います。
祈りからはじまった世界が、
ようやく現実の中で息をした日。
∗atelier eni∗ が光のほとりで、
初めて現実と静かに
呼吸を分け合った瞬間でした。

いっぽマルシェの様子。。。
∗atelier eni 63∗
