「陽のあたる場所で」
―はじめて光を知った―
光に触れる
あの日、
私の世界は初めて陽の下に置かれた。
手のひらの中の
小さな花たちは、
まぶしそうに光を受けとめながら、
少しだけ震えていました。
私も同じだった。
長いあいだ、
土の中で光を見上げていた芽。
その芽が初めて空気を吸い、
風の匂いを知った瞬間――
胸の奥の奥で、
何かが音もなくほどけていきました…
名前の響き
誰かが「エニさん」と
呼んだその声は、
やさしく世界を包む音でした。
そのたった一言の中で、
∗atelier eni∗という世界と、
私という存在が
ひとつに重なった気がしたのです。
“ああ、やっと届いたんだ”
言葉にしなくても、
涙のような感情が
心の奥でしずかに光っていました。
世界が混ざりあう
光の中に立つ私と、
その影の下でじっと根を張っていた私。
ふたりの私が、
あの日、
ようやく手を取り合った気がしました。
外に出ることは怖かった。
けれど、
光に照らされてみて初めてわかったのです。
影があるから、光はあたたかい。
痛みがあるから、祈りはやさしい。
小さな息吹
春の手前で、
私はようやく息をしていました。
“生きる”という言葉の意味を、
ほんの少しだけ理解できた気がしました。
それは、
芽が風に揺れるような、
儚くも確かな感覚でした。
この日、私は光を知った。
そして、
光の中に自分の居場所を見つけたのです。

初めてのマルシェ”いっぽマルシェ”。
∗atelier eni 61∗
