「雪の祈り」
―静けさの奥のぬくもり ―
白銀の記憶
冷たくて、
けれどどこまでも美しい、
白銀の降り積もる雪。
空から落ちるその一片一片が、
世界の音を静かに吸い込んでいく。
足音も、ざわめきも、
胸の奥の揺らぎさえも、
やわらかく覆い隠していく。
すべてを白に染めながら、
痛みも、言葉も、輪郭さえも、
そっと包み込むその静けさ。
何かを消しているようでいて、
ほんとうは、
守っているのかもしれないと
ふと思う…。
ぬくもりの記憶
冷たさの中にある静かな熱は、
まるで見えない灯のよう。
凍てつく空気の奥で、
息をひそめた命が、
春のために祈るように
微かに脈打っている。
外側は白く
静まり返っていても、
内側では確かに
ぬくもりが循環している。
触れれば溶けてしまうほど繊細で、
けれど確かに在る熱。
それは、
誰にも見えなくても
消えることのない光。
循環の祈り
雪はやがて水となり、
大地へと還る。
凍ったまま終わるのではなく、
溶けて、流れ、
また命を潤していく。
その流れが、
新しい芽を育て、
やがて花を咲かせる。
静けさの中にも、
確かな“めぐり”が息づいている。
止まっているように見える時間も、
ほんとうは
次の季節へ向かって
静かに進んでいる。
眠る花
∗atelier eni∗ の花も、
この雪の下でそっと息づいている。
音も光も遠のいて、
世界が白に包まれても、
その奥で、
小さな灯を抱いたまま。
凍えることなく、
急ぐこともなく、
ただ、還るべき季節を待ちながら。
やがて雪が解けるとき、
その花は、
ぬくもりをまとって
また静かに咲きはじめる。
それは、
闇を越えるのではなく、
光を思い出すように。
音も光も失って、
それでも温もりを手放さずに…。

雪に咲くスノードロップの耳飾り。
∗atelier eni 121∗
