「芽吹きの祈り」
―還る種―
冬の土の奥で
雪の下で眠る種たちは、
静かに呼吸を続けている。
まだ光を知らないその場所で、
春の気配を待ちながら、
小さな祈りのように息づいている。
凍てついた土の奥にも、
見えないぬくもりが流れていて、
それを確かめるように、
命はそっと眠り続けている…。
風に乗る種
秋に散った花の種が、
風に乗って少し遠くへ運ばれていく。
同じ大地ではなくても、
そこにまた
新しい“根”を下ろす場所がある。
離れることは終わりではなく、
めぐりの途中にあるだけのこと。
風はいつも、
次の居場所へと
そっと背中を押してくれる。
循環の記憶
すべては終わりではなく、
形を変えて続いていく。
記憶も想いも、
そっと姿を変えながら、
次の景色へと受け継がれていく。
見えなくなったものも、
消えてしまったわけではなく、
別のかたちでどこかに息づいている。
それが、
命のやさしい約束。
芽吹きの祈り
凍てついた地面の中で、
ほんの少しのぬくもりに触れたとき、
新しい命が、そっと微笑む。
まだ小さく、頼りなくても、
その芽は確かに光を知っている。
それは光へ向かうための、
やさしいはじまり。
誰にも気づかれない場所で、
静かにほどけていく春。
継がれるもの
∗atelier eni∗ の花たちも、
このめぐりの中で、
また新しい場所に根を下ろしていく。
見えない風に導かれながら、
そっと咲く場所を探している。
手から離れたあとも、
どこかで季節と出会いながら、
やわらかな時間を育てていく。
春の前で
風がやわらかくなりはじめる頃、
まだ見えないその芽は、
確かに未来を抱いている。
土の奥で育まれた祈りは、
やがて光の中へとほどけていく。
あなたのもとへ届くその種は、
どんな花を咲かせますか。
その答えはきっと、
あなたの季節の中で、
ゆっくりと芽吹いていくのでしょう。

∗atelier eni 128∗
