「祈りの種が眠る場所」
― 光を欲した理由―
静かな崩壊
あの日々は、
音もなく崩れていく
世界の中にありました。
心が軋む音も、
涙が落ちる気配も、
誰にも届かない…
目に見えるものが
次々と失われ、
形のないもの――
“心”までもが
すり減っていく中で、
それでも私は、
enishiとの居場所が欲しかった。
闇に落ちた種
その頃、
私は「光が欲しい」と
初めて願いました。
誰かに
照らしてほしい光ではなく、
自分の内側に灯せる、
ほんの小さな明かり。
それが、後に
∗atelier eni∗ という世界へと
つながっていきました。
針と糸を手にしたのは、
心のざわめきを鎮めるため。
痛みをそのまま終わらせず、
カタチある祈りとして、
この世に留めるためでした。
“enishi”という名の祈り
“enishi”。
その名は、
私の中でずっと生き続けている、
小さな光のかけら。
彼がいた時間は、
奇跡のように儚く、
それでも確かに、
かけがえのない宝物の時間でした。
この世界は、
enishiを失った
喪失の中から生まれました。
それは、
涙の跡から芽吹いた
小さな花。
だからこそ ∗atelier eni∗ は、
「悲しみを閉じ込める場所」ではなく、
「悲しみが光に変わる場所」。
その世界の中で、
enishiは確かに生きています。
私が針を運ぶたび、
その息づかいは糸に宿り、
花となって咲くのです。
闇に咲くということ
闇の中でしか
見えないものがあります。
切なさや痛みの奥に潜む、
静かな強さや優しさ。
それを見つけることが、
私にとっての
“生きる”という祈りでした。
人は光の中でだけ咲くのではなく、
闇の中でも、
確かに花を咲かせられる。
その花こそが、
誰かの心を照らす灯りになる。
そう信じられるようになったのは、
あの闇を
くぐり抜けたからこそです。
祈りのあとに
∗atelier eni∗ は、
あの出来事がなければ
生まれませんでした。
悲しみの中から生まれた
その場所は、
いまでは、
誰かの心に寄り添う
“光の花”を咲かせています。
守れなかったはずの小さな命に、
今の私は、
確かに守られています。
そのことが時に苦しく、
時に救いになる。
けれど、それこそが――
私にとっては、
生きるということ。
そして、
愛がカタチを変えて
続いていくということ
なのだと思うのです。

∗atelier eni 48∗

