「灯を渡す」
―祈りの輪―
小さな始まり
ひとつの 燈(ともしび) から、
またひとつの燈が生まれていく。
それは、特別な出来事ではなく、
気づけばそばにあったような、
とても静かな始まり。
暗闇の中で、
誰にも気づかれないまま、
小さな光が、
次の光を呼んでいる。
分け合う光
手から手へ、
想いが渡されるたび、
闇の中に小さな光が点っていく。
それは、
燃え上がるための火ではなく、
競うための光でもなく、
ただ、分け合うための光。
奪うことも、
減ることもなく、
渡すほどに、
静かにめぐりを広げていく。
触れる温度
触れた瞬間、
そっと心の奥に
あたたかさを残す。
それは、
言葉にしなくても伝わる温度。
あなたの手のひらに宿った光が、
ある夜、
誰かの足もとを照らすことがある。
それはきっと、
あなたが意図したものではなく、
ただ、そこに在ったからこそ
生まれた出来事。
祈りのめぐり
それは偶然ではなく、
祈りがかたちを変えためぐり。
言葉にならなかった想い、
胸の奥で抱きしめてきた願いが、
見えないところで
そっと、次へと手渡されている。
灯は、
ひとりのものにならず、
今日も、静かに
誰かのもとへ向かっている。
寄り添う場所
言葉の中に、
笑顔の中に、
沈黙の中に、
寄り添いの中に…。
光は、
目立つ場所だけでなく、
ふと立ち止まった瞬間や、
何も言えなかった時間のそばで、
そっと息をしている。
∗atelier eni∗ の祈り
∗atelier eni∗ の作品もまた、
その祈りの輪の中で
生まれている。
一針ごとに込めるのは、
「どうか、あなたの光が
見つかりますように」
という、静かな願い。
痛みを知る手で、
それでも光を
すくい取るように…。
めぐりの終わりに
その花が咲く場所で、
誰かの心が
少しでもあたたまりますように。
渡すことは、
手放すことだけではなく、
めぐりの中に
光を溶かすことも。
あなたがいま持つ
小さな燈が、
次の誰かの心に
やさしく届きますように…。

∗atelier eni 118∗

