「深く潜る根」
―静けさの底で―
違う世界線を生きて
あの頃の私は、
まるで違う世界の空気を吸っているよう…
目の前にある現実が、
自分の物語ではないように見えていました。
まるで海外のニュースを眺めるような――
私の痛みさえも、
どこか遠くの出来事のように思えていました。
知っていた気さえしたのです。
ずっと前から、
こうなることを…
だから、
気づかないふりをしてきたのです。
気づいてしまえば、
もう終わってしまうことを知っていたから…
そんな自分もどうしようもなく
嫌だった…
感情を手放すということ
壊れるのを見ながら、
私は一番強い負の感情から、
順番に手放していきました。
怒り、嘆き、哀れみ、そして涙。
どれも形を失い、
ただ空気のように薄まっていった。
それでも――
守らなければならないものがあった。
その命を、この手で抱いている限り、
私は立ち止まることができなかった。
静かな確信
すべてが崩れていく中で、
なぜか私は
“確信”のような光を見ていました。
小さく、かすかな光。
それは、
ずっと昔から私の中に疼いていたもの。
きっと私は、
誰よりも早く“終わり”を受け入れていた。
だから、あの静けさの中で、
ただ黙って、
光のある方を見つめていたのだと思うのです。
闇の底で
世界は沈黙に包まれていたけれど、
その底には、
まだ微かな命の音が響いていた。
私の根は深く沈みながら、
それでも確かに地上を目指していました。
折れそうで折れない。
凍えそうで、
それでも温もりを忘れない。
闇の奥で静かに伸びていく――
それが、あの頃の私でした。
∗atelier eni∗の世界が広がる、
少し前のお話…

トライアングルの光に咲くhane no hana。
自分らしく、自分色に羽ばたくことを夢見て…
∗atelier eni 57∗

