「月の章を閉じる祈り」
―光のめぐり ―
月の循環
闇の中で芽吹き、
光の中で揺れ、
やがてまた、
静けさへと還っていく…。
それは終わりではなく、
息づくように続いていく
循環の祈り。
月は、
満ち欠けを繰り返しながら、
何も急がず、
時間をやさしく運んでいく。
針の呼吸
∗atelier eni∗ の花もまた、
その月のリズムに
そっと寄り添いながら咲いています。
一針ごとに、
満ちては欠け、
欠けては、また満ちる…。
糸が布を行き来するたび、
手の中に
小さな呼吸が生まれる。
それは、
何かを刻みつけるためではなく、
光を、
次へ渡すための時間。
手放しと満ちること
手放すことも、
満たすことも、
どちらも光へとつながっている。
足りなさの中に宿る静けさ。
満ちた先に訪れる余白。
そのあわいに、
言葉にならなかった想いが、
そっとほどけていく…。
抱えきれなかったものも、
伝えきれなかったものも、
ここでは、
無理に形を与えなくていいから…。
月が洗い流すもの
秋の空に浮かぶ月は、
照らすためだけに
そこに在るのではない。
静かに見上げるうちに、
溜め込んでいたものを
洗い流し、
巡らせ、
次の場所へ送り出していく…。
満ちる月も、
欠けゆく月も、
どちらも等しく、
私たちの内側を
整えていく。
気づかないうちに、
新しい力で
洗われていることもあるのです。
受け渡される光
今日のあなたの心に、
どんな月が
浮かんでいるでしょうか。
欠けたままの月。
淡く残る月。
静かに、
遠ざかっていく月…。
∗atelier eni∗ の庭から、
その月に似た花を、
そっとお贈りします。
秋の空気が
少しずつ冷えを含み、
葉が音もなく土へ還っていくように、
光は、
静かに次の季節へと
手渡されていきます。
その温度だけが、
手のひらに残るように…。
静かな祈り
そして、
今日という日を
そっと胸にしまいながら、
私は空を見上げている。
失われたものも、
届かなかった言葉も、
月の光の中で
静かに溶けていくように…。
どうか、
この巡りの中で、
安らかな場所へ
還っていけますように…。
その祈りもまた、
次の季節へ渡す光として、
ここに置いておきます。

∗atelier eni 109∗
