「揺らぎの中に咲くもの」
― 不揃いだからこそ輝くもの―
完璧じゃない魅力
完璧じゃないものに、心が惹かれます。
少し歪んでいたり、
針目が揃わなかったり。
そのわずかな揺らぎの中にこそ、
生きているものの鼓動や、
温度のようなものを感じるのです。
自然の草花に学ぶ
自然の草花も、
誰ひとり同じ姿ではありません。
風に揺れて傾いた茎、
光を求めて伸びる花びら。
どれも少しずつ違う姿で、
不揃いで、儚くて、それでも確かに美しい。
そんな世界に心を寄せながら、
私は針を進めています。
こだわりと自由のあわい
∗atelier eni∗ の作品づくりには、
「こだわり」と「自由」が、
静かに共存しています。
形や色、糸の重なりには
確かな意図があるけれど、
思い通りに整いすぎてしまうと、
そこに宿る“呼吸”が消えてしまう気がするのです。
だから私は、
あえて少し余白を残します。
ゆらぐ線、滲む影、
思いがけず生まれるアンバランス…
それらは、偶然のようでいて、
この瞬間にしか生まれない表情。
アシンメトリーの美学
左右非対称のかたちや、
ほんの少しだけ
“ヒトクセ”あるバランスが好きです。
それは、
個性を隠さずに生きる草花のようで、
世界の中で静かに輝く小さな自由の証。
アシンメトリーであることは、
私にとって“自然であること”と
同じ意味を持っています。
時間と想いの結晶
ひとつの小さなアクセサリーができあがるまでに、
何十時間という時間が流れていきます。
でも、その時間こそが、
作品の中に“息”を宿すのです。
手刺繍であるということは、
同じ糸、同じ図案を用いても、
決して同じものは
二度と生まれないということ。
一針ごとに、
呼吸や想いが刻まれていく。
だから私は、
いつも“一針一会”の気持ちで針を持ちます。
世界にひとつの美しさ
世界にひとつの作品。
それは、技術の結果ではなく、
積み重ねた時間と、
心のカケラたちの結晶です。
完璧でないことこそが、
この世でいちばん完全なのかもしれない…
そう信じて、
私は今日も針を動かしています。

∗atelier eni 8∗

