「∗atelier eni∗はじまりの物語」
― 「∗atelier eni∗はじまりの物語」―
はじまり
すべての物語には、
静かな夜明けがあります。
∗atelier eni∗という名前が生まれる前、
私の世界は
深い静寂に包まれていました。
迷い、立ち止まり、
何も手につかない日々。
そんな時、
幼い頃に過ごした八ヶ岳の麓の森の風景が、
心の奥でそっと灯りをともしました。
小さなログハウス、光に揺れる樹々、
絵本から飛び出した花の輝き…。
その記憶は、
静かに、でも確かに
私を呼び戻してくれたのです。
暗闇の中で見つけた一筋の光の先に、
∗atelier eni∗の世界がありました。
「eni(エニ)」
この小さな世界に名前を与えました。
「eni(エニ)」。
耳にした瞬間、
心の奥に小さな”円”が
ふわりと広がる
優しい響き。
ひとつは、日本語の「縁(えにし)」
—作品と手に取る方、
人と人との間に生まれる
目に見えないつながり。
もう一つはフランス語の「Lien(リアン)」
—絆、結びつき、
そっと守ってくれる力。
そして静かに息づく「円」
ーめぐり、ととのい、循環する形。
出会いも別れも、
痛みも喜びも、
始まりも終わりもなく、
全てを丸く抱きしめて巡り
次の景色へと繋いでいく…
∗(アスタリスク)
∗(アスタリスク)は、
もともと”小さな星”を意味する印。
eniの名前に添えた星は、
やさしく照らすための光。
縁と円を結ぶ光
∗atelier eni∗のひと針ひと針は、
縁と円を紡ぎ、
失われたものと今を結ぶ
やわらかな光の道をつくっていく灯り。
暗闇を知っているからこそ、
小さな光に気付くことができる。
だからこそ私は、この光の縫い人として、
ひと針ひと針に想いを込めていきたいのです。
命を吹き込む針
針と糸がゆっくりと
物語を描き、光を集める。
∗atelier eni∗は、
光と記憶を編み込む小さな森のアトリエです。
ここから、
ひと針ごとに命を宿した作品たちが、
外の世界へそっと旅立ちます。
お花に救われた経験から、
誰かの心に寄り添える、
身につけられる小さな花を作りたい。
そんな想いが重なり合い、
∗atelier eni∗の世界は生まれました。
失った光をもう一度取り戻すように、
沈黙を破って生まれた世界。
それは今から6年ほど前のこと。
まだ∗atelier eni∗の世界が形になる前…
そっと抱えてきた
私だけの小さな祈りを込めた、
創造の旅路のはじまりです。

∗atelier eni 5∗

